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行財政改革とグランピング事業(PFI・指定管理・公募・公園活用について)

グランピング事業を活用した行財政改革(PFI手法)が注目を集めています。
PFIは「Private Finance Initiative」の頭文字を使った用語で、民間資金を活用して、施設整備を行い、公費負担を抑制する行財政改革の手段として、近年注目を集めています。

 

日本国内で実施されているPFI事業は800件超

PFI事業と耳にすると、詳しい方は、関西国際空港などの空港事業や給食センターを頭に浮かべられるかもしれません。

関西国際空港の運営権が話題になってから、数年が経ち、国内各地の空港運営はPFI方式が数多く採用されるようになっています。

また、度々ニュースで取り上げられている日本版GPSと呼ばれる「準天頂衛星システム」の運営などでもPFI方式が採用されており、現在、日本各地で実施されているPFI事業は800件以上となっています。

 

グランピング事業におけるPFI活用事例

2020年大阪府の「泉南りんくう公園」が開業しました。
その敷地は南北約2km、約10万7800㎡に及びますが、中でもグランピング施設がコア施設として集客の目玉となっています。
泉南りんくう公園については、大阪府の公園施設を無償で泉南市が借り受け、大和リースを代表企業とする企業体が設備投資を行い、その運営収益で公園の維持活用を賄うといういわば、「公費負担ゼロ」の仕組みが行政関係者から注目を集めています。

泉南りんくう公園

また2021年春には私共がお手伝いをさせていただいている九州の人気観光地、大分県別府市で九州初のPFI方式によるグランピング施設が開業いたします。
別府市による公園整備事業と株式会社長大を中心とするSPC(特定目的会社)によるグランピング整備事業を複合的に行うことで、より大きなシナジー効果の発揮が期待されています。
既に敷地内には別府市の予算で施工された温泉掘削工事が完了しており、高温の天然温泉が確保されています。その温泉を有効活用して、全サイトに個別温泉風呂が完備されたドームテント型グランピング施設と高温の温泉の蒸気を利用した地獄蒸し体験ができるBBQレストランが整備される予定です。

詳細については開業後、グランペディアでも紹介して参ります。

 

多種多様なPFI手法のパターン

PFI事業には「BTO」「BOT」「BOO」「BLO」「BLT」「DBO」など様々なパターンがあり、整備される施設の投資負担を官民のどちらが行うか、どのタイミングで行うかで呼び名が変わります。

PFI手法を活用して、グランピング事業を企画する場合に参考になると思いますので、簡単に説明します。

BTO方式(Build・Transfer・Operate)

民間の事業者が施設を建設した後、所有権を公共側に移転する方式。施設運営は民間事業者が担当する方式で日本では最もこのパターンが多くなっています。

BOT方式(Build・Operate・Transfer)

民間事業者が施設建設し、一定期間の管理運営後、公共側に施設移管する方式。

BOO方式(Build・Own・Operate)

民間事業者が施設を建設し、保有したまま事業を運営する方式です。

BLO方式(Build・Lease・Operate)

民間事業者が施設を建設後、行政に一定期間リースし、運営は民間事業者が担当する方式。

 

BLT方式(Build・Lease・Transfer)

民間事業者が施設建設後を行政に一定期間リースし、期間終了後に所有権移転する方式。

DBO方式(Design・Build・Operate)

民間事業者が設計・建設・運営を一括して担い、施設所有や資金調達を行政が行う方式。

少しややこしいですが、資産の所有権が官民のどちらに、どのタイミングで移行するのかという点で理解をすると頭に入りやすいです。
それぞれの方式にメリット、デメリットや向き不向きがあります。行政サイド、民間サイドの立場でも見え方が異なりますので、柔軟な考え方で事業を実現させるための視点として活用いただければと思います。

 

PFI手法とグランピングの相性は抜群

PFI手法は「民間資金等活用事業」と呼ばれるように民間事業者の資金投入で事業が成立するのが特徴であり、よく耳にする指定管理者制度とは、かなり性格の異なるスキームといえるかと思います。

私共のグループ企業でも、地方の温浴施設の指定管理者を受託して事業を行っていますが、基本的なハード面の投資は行政負担となっています。また、収益事業にも関わらず、毎年、高額な指定管理料をいただいています。

現状国内の公園施設や温浴施設などは大半が指定管理者制度で運営が行われていますが、できる限りPFI方式を活用していくことが財政改革には必要です。
そのような視点からは、グランピング事業は地方でも黒字化の実現が可能なビジネスモデルであり、多くの指定管理者制度の施設をPFIに切り替えていく原動力になる可能性を秘めています。

 

遊休地や隣地をグランピングで活用できれば指定管理料は大幅削減できる!

民間事業者も利益を上げられなければ運営を続けられませんので、指定管理料が不可欠という意見も多いかと思います。

私共のグループ企業が運営している温浴施設についても、指定管理料を頂戴せずに事業を運営できないかということで、温浴施設の隣接地で何度となくグランピング事業の可能性を探ってきましたが、用地確保ができずという状況です。

もし用地確保ができ、受託期間を5年でなく10年に延長することが可能であれば、指定管理料は大幅に削減ができると今でも考えています。
このような可能性を検討できる場所は、日本国内でも数多く存在すると思います。
グランピングを付加することで、公園や温浴施設や運動施設を収益化し、税金投入を極小化していくことが、今後必要になってくると考えています。

 

民間事業者のプロポーザル情報を周知する役割と機能について

PFIに限らず、民間企業からすれば行政が募集するプロポーザル案件の情報を網羅的に把握し、提案をしていくことはなかなか困難であり、知らない間に申込期日が終了していたということが多々あります。

また案件の中には、企画段階からコンサルティング会社やディベロッパー、地元議員と関係が濃い地元企業が深く関与していることも多く、意図的に募集期間を短く設定しているものもあります。

企画段階から無償の労力を提供した企業の立場を理解できないわけではありませんが、広く情報を周知する仕組み(例えばwebサイト)などがあれば、もっともっと民間資金を活用して、税負担を軽減し、施設のユーザーも満足できる状態が作れるのではないでしょうか。

特定の企業だけが潤うためのPFIであっては、制度の信頼性はいずれ低下し機能しなくなることさえ考えられます。現にイギリスなど古くからPFI手法を活用していた国では、民間事業者が儲けすぎているという非難も噴出しているそうです。

 

グランピングがPFI手法に相性の良い事業だと周知していく

グランピングはホテルなど建築物を必要とする事業と比較して、圧倒的に少ない投資で事業をスタートできます。

さらに地方都市でも事業として大成功している事例も数多くあり、広い土地の確保ができれば、今後まだまだ成長していく業界です。
広い土地の維持活用には、多くの費用が必要であり、公園の維持には税金がたくさん使われています。公園は人々の心を和らげる存在でもあり、動植物の生存する場所としても必要な機能であり、今までは税金の投入が看過されてきました。

グランピングは自然を活かした事業であり、公園の機能を維持したまま、税金負担を軽減できる唯一無二の事業です。

今後私たちはグランピング業界をリードしていく立場として、積極的にPFI制度や公園事業などのテーマを研究していきます。
そして微力ながらグランピングを通じて、行財政負担の軽減に貢献していくことを目標に事業に邁進し、継続的に努力、研究に励んでいきたいと考えております。

 

グランペディアでは、行政のご担当者からも多くのご相談を頂いております。地方の公園や温浴施設、運動施設の運営に悩まれている場合は、まずお気軽にご相談下さい。

 

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