小資本・低リスクで開業できるグランピング施設経営の極意

グランピング施設のタイプ

2015年秋、星野リゾートが星のや富士を開業したことがきっかけで火がついたグランピング。その後、関東や関西エリアを中心に多種多様なグランピング施設が開業した。コットン生地のテント、ドーム型テント、ロータスベルテントを用いた施設もあれば、コテージやヴィラ型、トレーラーやコンテナなど、実にバリエーション豊かだ。建築物の宿泊施設はグランピング施設ではないという意見もあるが、個人的には多様な施設が次々とオープンすることで、アウトドア業界や宿泊業界が活気づくことを応援したい。

 

 

 

グランピング事業のイニシャルコストと利回り

正確に調べたわけではないが、グランピング施設の過半はテントに宿泊させるタイプだと思う。いちいち説明する必要はないが、建物の投資と比較すれば、テントは圧倒的に安い。ホテルの1室あたりの整備費用はどんなにコストをおさえても、2000万円程度は必要である。それがテントならば、数万円~数十万円。この初期投資の小ささが、グランピング施設のビジネス的なメリットであろう。

初期投資が小さければ、当然、金利や償却費の負担も少なくなり、黒字確保の難易度も下がる。冬季営業ができないケースや悪天候の影響をもろに受けるというデメリットはあるものの、稼働率20%程度から採算を合わせられるリスクの低さが特徴である。

グランピングが注目され、メディアの露出が目立った2016年にオープンしたグランピング施設には繁盛施設が多く、その多くは2年~3年で初期投資が回収されている。繁盛旅館の目安である1室年間売上高1500万円の水準を越えるグランピング施設も存在する。
グランピング施設経営の魅力は何といってもこの初期投資の回収の速さや黒字化の可能性の高さであろう。

 

 

グランピング開業の立地選定の極意①

グランピング施設の開業コストで最も大きくなるものは管理棟の整備費用である。特に新築すると大きな投資となる。理想的なことをいえば、管理棟として活用可能な建物が付帯している土地物件を選択したい。また、建物にはアウトドア料理やBBQを提供するために、厨房機能があることが望ましい。

 

 

グランピング開業の立地選定の極意②

また、物件選びには平坦地で開発許可取得済の物件を選びたい。程度にもよるが、傾斜地のケースでは、デッキ工事が平坦地のケースと比較すると数倍に膨らむ。また、開発許可が必要な物件は開発面積にもよるが、許認可に要する時間や雨水対策の工事費用など事業のハードルを格段に高くしてしまう。

 

 

グランピング施設経営の最重要課題は“インターネット集客”

グランピング施設の経営を成功させる上で、最も重要かつ難易度が高いポイントが集客である。グランピングを含む宿泊施設のネット集客は先行している施設が有利であり、新規参入者が施設を見込み客に認知してもらうことは意外と難しい。ポータルサイトなどは当然ながら、予約実績の豊富な施設を上位表示している。この上位表示の基準は口コミ数や評価点によるものが多い。グランピング施設の経営を考える際には、施設をいかにして認知してもらうのか具体策を十分に練っておく必要がある。

 

 

グランピングのインターネット集客は難易度が高い

近年は宿泊施設の予約はインターネット経由が主流になっている。公営のオートキャンプ場は未だに電話予約が主流だが、新規性のあるグランピング事業者はほぼインターネット予約に特化している。また、大半のグランピング施設はポータルサイトに依存せず、自社サイトからの集客で事業を成り立たせている。自社サイトのみでは、不安のある新規参入者は楽天トラベルや一休、じゃらんなどのホテル・旅館向けポータルサイトを検討するだろうが、これらのサイトへの掲載要件に旅館業に関する許可証の提出という難題があり、テント貸与型のグランピング施設では、この要件がクリアできないケースがある。

 

 

キャンプ場集客サイトから集客する際の問題

近年はキャンプ場専門の予約検索サイトも登場し、多くのユーザーに利用されているものもある。ただ、このキャンプ場専門サイトについても、グランピング施設が利用する際には、注意が必要である。自社サイトやポータルサイトなど複数サイトからの予約を受け付けるにはサイトコントローラーという仕組みが必要である。この仕組みがないとダブルブッキングを頻発させ、運営はかなり厳しいものになる。キャンプ場の検索サイトの多くは、このサイトコントローラーが導入されておらず、客室在庫の管理が難しい。特にゴールデンウィークや夏季のハイシーズンの予約は電話予約、公式自社サイトの予約、キャンプ場検索サイトの予約を調整することは、現場に相当な負担となる。

 

 

オートキャンプの客層とグランピングの客層の違いから生じる問題

キャンプ場専門の検索サイトに掲載されている施設の大半はオートキャンプ場ということも、グランピング施設には不利に働くことがある。その理由は施設利用料金の価格差である。オートキャンプ場のサイト利用料は5,000円前後に設定されていることが多く、1名当たり2万円~3万円の設定が多いグランピング施設とは圧倒的な価格差がある。
キャンプ場のユーザーとグランピング施設のユーザーは異なる層であるとの認識も必要である。

 

 

自社サイトを集客のメインルートにできるか

旅館業界は集客を旅行代理店に頼りすぎて、衰退している。WEB集客が当たり前になった時代では、楽天やじゃらんなどのオンラインの代理店に首根っこをつかまれている。代理店手数料は一般的に予約金額の10%程度が多いが、25%をとる事業者もある。これでは健全な経営など不可能である。
開業当初は辛抱できたとしても、オンライン代理店の手数料値上げリスクや代理店サイト内の検索対策のための広告費負担など余計な心配やリスクを考えなくてはいけない。
基本的には自社サイトからの予約獲得を前提にグランピングの経営を考える必要がある。

 

 

グランピング+“地名”の検索キーワードがもたらす集客の課題

これから、新規にグランピング施設を開業するには、ある程度自力で施設の認知度を上げられる事業者ではないとリスクが高いだろう。
YAHOOやGoogleの検索窓にグランピングのキーワードを入力すると、関東や関西、都道府県名が候補のワードとして表示される。当然ながらこうした検索結果の上位に表示されないサイトでは、集客は覚束ない。Googleのアルゴリズムはアクセスが多い実績のあるサイトを優先するので、2016年、2017年から開業しているグランピング施設の公式サイトや“まとめサイト”が上位表示される。これらのライバルよりも上位表示させることは一般的な企業ではかなりハードルが高いのが実情だ。
メディア対応やインターネットに関するリテラシーの高い事業者であるか、そのようなノウハウを持つ企業と手を組むなどしなければ、安定した集客は難しいだろう

 

 

グランピング経営の3要素(ネット・不動産・飲食)

グランピング施設の経営を成功させるノウハウ、知見は大まかにネット集客スキル、不動産開発スキル、飲食提供スキルの3つ。飲食提供はさほど難しいテーマではないが、不動産開発スキルは一般的なデベロッパーや仲介事業者には難易度が高い。立地選定に開発許可申請、農地法、建築確認など複数の条件が絡むケースが多いことや、土地改良工事やデッキ工事、給排水工事などの見積もりが難しいためである。またインターネット集客も難易度が高く、ただ単純にホームページを作成し公開するだけでは、集客は覚束ない。検索エンジン対策やグランピング関連サイトへの掲載、施設名でのダイレクトな検索を増やす活動を適宜行う必要がある。
グランピング施設は人気化すれば、ホテルや旅館とは比較にならないほど収益性は高くなる。地方都市にて、3つのスキルを単体事業者がもっているケースは少ないが、それぞれの強みを活かしたアライアンスが組めれば、グランピングはとても魅力な事業領域になる。