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事業再構築補助金(第6回以降)の変更点とグランピング事業への影響

令和3年度補正予算が成立し、事業再構築補助金については令和4年度も引き続き継続することが決まりました。

 

2022年5月現時点では、第6回公募を開始、公募期間は3月28日から6月30日までとなっています。(受付開始は5月下旬~6月上旬予定)

 

当社(株式会社グランシーズ)では、過去4回までの公募について、合計28件のグランピング事業へ新規参入を行う企業の事業計画作成を支援、合計25件の採択(補助金交付)を受けています。

第5回は17件の事業計画を作成、6月上旬の採択結果発表待ちです。

 

また当社自体も、2021年9月開業の直営グランピング施設(グランマーレ淡路)は、第2回の事業再構築補助金の採択を受けて建築、交付決定(補助金額の確定)から、現在は実績報告(補助金請求)を行っており、採択率の高い事業計画作成から、補助金請求までの事務的な流れまで、網羅的にサポート可能な立場です。

 

現在、第6回の事業計画作成支援についても、受け付け中ですので、ご検討中の事業者様は、こちらの記事をご覧ください。

https://glampedia.jp/jigyou-saikouchiku

 

一方で、第6回から補助金の上限金額や、補助対象となる経費内容が大きく変更されました。

グランピング事業への新規参入について、事業再構築補助金の活用を検討されている事業者にも、少なからず影響が出ますので、今回は第6回以降の変更点と、グランピング事業への影響について解説して参ります。

 

 

第6回以降の主な変更点

1.売上高減少要件の緩和

事業再構築補助金を申請できる要件のうち、売上高10%減少要件については、「2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること」となりました。

これにより、コロナ前の売上と比較可能な期間が、長期間(2020年4月~2022年4月頃)となったため、コロナの影響が比較的軽微な事業者にも補助金交付の機会が拡がりました。

 

2.補助上限額の見直し

通常枠の補助上限額について、従業員規模に応じて下表の通り、引き下げられました。

初期投資金額で1億円程度は見込まれるグランピング事業にとって、上限額の引き下げは影響大です。

 

従業員規模 補助上限額 補助率(変更なし)
第5回まで 第6回以降
20人以下 4000万円 2000万円 【中小企業】 2/3

(6000万超は1/2)

 

【中堅企業】 1/2

(4000万超は1/3)

21人~50人 6000万円 4000万円
51人~100人 6000万円 6000万円
101人以上 8000万円 8000万円

 

今回の上限額の見直しは従業員規模50人以下の中小零細規模の企業を対象に行われました。

なお、「従業員」ですが、正社員に限らず、パート・アルバイト社員も対象になる可能性が高いので、ご注意下さい。

 

3.新事業売上高10%要件の緩和(第5回目から)

新事業売上高10%要件では、事業再構築で新たに取り組む事業の売上高が、総売上高の10%以上となる事業計画を策定することを求めています。

これを、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)15%以上でも認められる事となりました。

また、売上高が10億円以上の事業者であって、事業再構築を行う事業部門の売上高が3億円以上である場合には、当事業部門の売上高の10%以上でも要件を満たすこととなりました。

 

これまで申請ハードルが高かった、事業規模の大きな企業や、卸売業のように売上は大きいが粗利益率の低い企業にも、申請のチャンスが拡がることとなりました。

 

4.補助対象経費の見直し

「建物費」については原則的に改修の場合に限ることとし、新築の場合は、一定の制限を設ける事となりました。

 

グランピング施設の新規投資の大半は建物費です。

実際、当社事例(グランマーレ淡路)でも、補助金の100%を建物費として請求しています。

 

「建物費(新築)」により補助金交付を受けようと計画していた、グレンピング参入事業者にとっては、計画変更を迫られるほどの大きな見直し事項となりました。

 

現在、こちらの具体的な詳細について情報収集を行っている最中ですが、今後の対応方法について、当社の見解をまとめてみます。

なお、補助金交付決定を行うのは、事業再構築補助金事務局(中小企業庁)であり、あくまで、これまでの経験による推測である事を、ご了承下さい。

 

 

今後の事業再構築補助金のグランピング活用について

事業再構築補助金の公募要領(第6回)によると、補助金の対象経費となる「建物費」については、以下のように定義されています。(公募要領より関係する部分を抜粋)

 

建物費 ①  専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費

②  補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費

③  補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費

④  貸工場・貸店舗等に一時的に移転する際に要する経費(貸工場・貸店舗等の賃借料、貸工場・貸店舗等への移転費等)

 

「建物費」の定義 ① 減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)における「建物」、「建物附属設備」に係る経費が対象です。「構築物」に係る経費は対象になりませんのでご注意ください。

② 建物の新築に要する経費は、補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り認められます。「新築の必要性に関する説明書」を提出してください。

③ 事業計画の内容に基づき採択された場合も、「新築の必要性に関する説明書」の内容に基づき、建物の新築については補助対象経費として認められない場合がありますのでご注意ください。

 

*減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)は以下のURLから

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340M50000040015

 

以上に基づき、グランピング新規事業において、事業再構築補助金を活用するには、次の3つの方法が考えられます

 

1.既存建物の解体撤去や改修費用に活用

既存のキャンプ場や廃校跡地、保養所や宿泊施設をリノベーションしてグランピング施設の開業を計画されている場合は、特に制約なく事業再構築補助金を活用いただけます。

 

当社でも、廃校を活用してグランピング施設を開業した静岡県島田市のGlamping&Port結の開業プロデュース実績があります。

また第6回におきましても、旧町役場をグランピング施設にリノベーション(改修)する計画、自社工場跡地を解体撤去(撤去費)して宿泊施設を新築する計画は、補助金申請のために現在当社で事業計画書を作成中です。

なお、廃校等を自治体から譲受(あるいは賃借)してグランピング事業を行い、かつ補助金を活用する場合は、そのタイムスケジュールにご注意下さい。

というのも、事業再構築補助金は採択後14ヶ月で事業完了(施設オープン&補助金請求)を行う必要がありますが、議会承認等の行政手続き上、この14ヶ月に間に合わないケースが出ています。

 

2.「新築の必要性に関する説明書」を提出し、建物の新築費用に活用

先述の通り、グランピング施設の建物新築に要する経費は、「補助事業の実施に真に必要不可欠」であり、「代替手段が存在しない」場合に限り認められます。

新築については、「新築の必要性に関する説明書」の提出(A4用紙2ページ以内)が、申請時に求められています。

詳細を確認します。

 

設問1.補助事業の概要及び建物費の詳細

補助事業の概要及び、建物費で計上する経費の詳細を記載してください。

 

設問1については事業計画と重複するものであり、事業計画がきちんと書かれていれば、特に書く内容で迷う所ではありません。

 

設問2.新築が必要である理由

建物を新築することが補助事業の実施に真に必要不可欠であり、既存の建物を改築する等の代替手段がないことを説明してください。

 

こちらも公募要領の内容から、追加で詳細説明されている訳ではありません。

 

以上から、グランピング施設の新築が補助対象経費として認められるか否かは、「意見書を出してみないと分からない」のが正直なところです。

実際の所、過去5回を事務局側の従来の対応を見ても、常に「見切り発車」的であり、運営を重ねる中で、諸問題に対する見解がオーソライズされていく傾向にあります。(膨大で多様なケースが想定されるため、これは致し方ないかもしれません)

 

そのような状況を鑑みると、「新築の必要性に関する説明書」も見解がオーソライズ(基本的には運用が厳しくなる)される前の方が、承認される確率は高いと踏んでいます。

 

ただし、公募要領の注意書き、

事業計画の内容に基づき採択された場合も、「新築の必要性に関する説明書」の内容に基づき、建物の新築については補助対象経費として認められない場合がありますのでご注意ください。

については、まさに「注意が必要」です。

 

これは、「採択されても、建物費(新築)に補助金が出るとは限らない」と言う事に他なりません。

未経験の事業者には分かりにくい話ですが、事業再構築補助金は次のような流れで、補助事業が進みます。

・電子申請(事業計画書や新築の必要性に関する説明書の提出)

・採択(補助金交付を受ける権利を取得)

・交付申請(事業に必要な補助金額を算出・申請)

・交付決定(補助金額を確定)

・実績報告(実際に支払った費用に対して精算請求)

・補助金振込

上記の通り、採択はあくまで「補助金の権利を得た」に過ぎず、「補助金額の確定」は交付決定によります。

したがって、「新築の必要性に関する説明書」について厳密に判断されるのは「交付申請時」という事を、この注意書きは意味しています。

4000万円の事業計画書で採択を受けたけど、3000万円分の建物費(新築)は対象外となり、実際の交付額はその他の1000万円になった、こういう事も想定されるので、注意してください。

 

では、建物費(新築)が否認されるリスクを想定し、新築グランピング施設でも最大限の補助金を交付されるには、どのようにすべきか、次の通りとなります。

 

3.グランピング施設で使用される設備を機械装置として補助金活用

事業再構築補助金では、事業に要する機械装置が補助金対象となっています。

事業再構築補助金の公募要領(第6回)では、「減価償却資産の耐用年数等に関する省令(昭和40年大蔵省令第15号)」における「機械及び装置」、「器具及び備品」、「工具」に係る経費が対象と明記されています。

こちら耐用年数表の47番「宿泊業用設備」が、グランピング施設の新規建設に活用できます。

「新築の必要性に関する説明書」にて建物費(新築)が否認された場合、宿泊業用の「機械装置」として再申請、もしくは最初から設備投資の一部を「機械装置」として申請しリスクヘッジします。

なお、「機械装置」として交付申請可能なものとしては、次のようなものが挙げられそうです。

 

ドームテント

当社関係先では、ドームテントが「機械装置」として補助金交付されています。

ドームテントについては、別の関係先では「建物費」として認められている事例もあり、事務局の担当者により見解がまちまちです。断言することは出来ませんが、「減価償却資産の耐用年数表」のうち、「宿泊業用設備」に該当すると考えます。

 

トレーラーハウス

こちらも「機械装置」の「宿泊業用設備」と考えます。

トレーラーハウスについては、事業再構築補助金HPのQ&Aの中で、以下のように記述されています。

自動車等車両(事業所内や作業所内のみで走行し、自動車登録番号がなく、公道を自走することができないものを除く)の購入費・修理費・リース費・車検費用は補助対象になりません。ただし、車両に載せる設備及びその設備の設置に必要な費用は補助の対象となり得ます。また、減価償却資産の耐用年数等に関する省令において「機械及び装置」区分に該当するもの(例:トラッククレーン、ブルドーザー、ロードローラー等)は補助対象になります。

トレーラーハウスについては、HPでも公開されているように、ドームテント以上に事務局内で見解がオーソライズされており、補助金対象で間違いなさそうです。

 

厨房設備

提供するBBQメニューを保管・調理する厨房設備については、「宿泊業用設備」で間違いないです。

 

その他、「宿泊業用設備」として補助金対象経費となりそうな項目は、色々と挙げることができそうです。

新築の建物費が認められなくなった、第6回以降の改定ですが、工夫次第でグランピング施設の新規建設についても、充分に事業再構築補助金を活用できそうです。

 

当社グループは、「直営グランピング施設の運営で培ったノウハウ」、「グランピングプロデュース企業として国内トップの実績」、「自前で集客のプラットフォームを抱え開業から運営・集客までの一気通貫の支援体制」、「過去4回の事業再構築補助金について90%に迫る採択率(補助金交付)」の実績を元に、事業再構築補助金を活用したグランピング施設やアウトドア型宿泊施設、日帰りBBQ施設等の開業支援を行っています。

 

現在、第6回の事業計画作成支援についても、受け付け中ですので、ご検討中の事業者様は、こちらの記事もご覧いただき、お問い合わせください。

https://glampedia.jp/jigyou-saikouchiku

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