グランピングの開発プロデュースに関わっていますと、建築基準法の対応をどのように考えたらよいかというご質問をよく受けます。
すべての土木事務所の見解というわけではありませんが、複数の都道府県で回答をいただいた事例や内容を整理してお伝えしたいと思います。
*このサイトで記載されている内容は、全ての土木事務所の見解という保証はありませんので、グランピング事業をお考えの事業者は必ず、事前協議に行っていただくようお願い致します
グランピングテントの建築確認
グランピングテントについては、現在まで我々が関わった事前協議では、土木事務所(建築指導課)からいただく回答は、建築確認は不要となっています。
これはテントだからではなく、昨今のグランピング施設の運営状況において、テントに関するオペレーションが建築物といえるレベルに至らないことに依ります。
ちなみに、テントであっても常設を前提として、地面への定着性があるものについては、膜構造の建築物ということで、建築確認が必要となります。
簡単に撤去ができるものは建築物といえない
先日の台風19号の影響は甚大で、特に関東・甲信越・東北の広いエリアで大きな被害をもたらしました。台風の大型化は、温暖化が原因ということは多くの方が知るところとなり、台風への防災意識は格段に高まっています。
我々、グランピングの運営会社も、お客様やスタッフの安全を考えるにあたり、より慎重かつ真剣に対応を考えるべき問題となっています。
このような背景もあり、多くのグランピング施設では、台風などの悪天候が予測される場合は、お客様の安全を最優先に考え、営業を自粛した上で、テントを撤去する運営を行っています。
この運営形態が建築確認の必要性に関係しています。
つまり、通常建物やテント倉庫とは異なり、グランピング施設のテントについては、大型台風や豪雪が予想される場合、撤去するケースがあるという前提があり、常設を前提にできないことから建築物には該当しないという結論に至っています。
耐風に優れているドームテントにおいても、超大型クラスの台風の場合は、テント膜の撤去を行うケースもありますので、建築物ではいえないという判断のようです。
また、降雪の多いエリアでは、冬季営業を行わないグランピング施設も多く、冬季はドームテントを撤去している事例もあります。
また、テント膜を洗浄のために、定期的に撤去する前提があるため、建築確認は不要という判断に至っています。
基礎をもたず地面に固定化していないテントは建築物ではない
基本的にテントは、ペグなどの簡易な器具で設置されています。通常の建物のように基礎でしっかり土地に定着性させることがありませんので、この点も建築物と見なさない理由となっています。
ドームテントについても同様、基本的にデッキの上に置かれている状況で、床面とテントの外幕は定着性がありません。
ドームテントですら、力の強い成人男性が引っ張れば動くレベルですので、建築物ではないという判断のようです。
エアコンについても、室外機がある兼ね合いで、土地への定着性が指摘されるケースがありますが、テント膜や骨組みに直接、接着しないのであれば、定着性があるという判断には至りません。
第一、猛暑日が当たり前となった昨今では、エアコンの室温調整の機能の有無は人命に関わるケースもあります。
夏場の利用が多いグランピング施設では、利用者の安全のためにも、この点はしっかり説明を行う責任があります。
小規模で外幕を容易に取り外しができるテントは建築物ではない
土木事務所(建築指導課)で参照されている手引書には、「小規模で外幕を容易に取り外しができるテントは建築物ではない」旨が明記されています。
また、地面への定着性についても、容易に移動ができるテントは建築物ではない旨の記載があり、この2点が土木事務所の判断の根拠になっているようです。
ログハウスキットやトレーラー、コンテナハウスはどうか?
基本的に建築確認が必要なケースが大半です。
トレーラーであれば、自走ができる状態で排水設備と浄化槽が着脱可能であれば、建築確認は不要という判断のようです。
これも土地への定着性や、常設か否かという点が建築物であるか否かの判断の論拠となっています。
ログハウスやコンテナハウスは基本的には建築物ですから、建築確認が必要ということが大前提です。仮に建築物の大きさや都市計画の基準で確認申請が不要の場合であっても、建築基準法に適合した安全性は求められています。
法律や規制の問題は事業を進める我々にとっては、時に、頭の痛い問題となることもあります。
ただ、法律や規制は利用者の安全を担保するために国が定めた基準です。
仮に建築確認が必要であろうが、不要であろうが、利用者の安全はないがしろにしてはならない問題です。
グランピングは自然を身近に感じ、楽しむためのもの。
だからこそ、グランピング運営会社には、より高次元の対応が欠かせないと思います。
超大型台風や津波など、誰もが想像できない事態にも、対応できるだけの知恵や備えが重要だと感じています。
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